昨7月25日(月)の夕方、東京汐留シティセンター内の喫茶店で、雑誌「ヘルスケア・レストラン」(日本医療企画発行)の2人の女性記者から、「災害時に備えた病院食事システムのあり方」についての取材を受けた。

 きっかけは、7月8日(金)に神戸市で開催された「大震災の経験に学ぶ『食の人権』」と題された緊急報告集会で、私が彼女たちの取材テーマに該当する講演を行ったことを耳にされたためであった。
 7月8日の緊急報告集会では、第一部でみやぎ保健企画セントラルキッチンの事業統括責任者である吉田雄次さんが、「食の備蓄とネットワークで喫食者の喜びを得た」とのタイトルのもと、今回の東日本大震災の被災経験にもとづく緊迫感に満ちたレポートをされ、続く第二部で私から「災害時に備えた病院食事提供のあり方と新調理システム」をテーマとする調査研究報告を行った。

 私の調査研究報告は2007年から2008年にかけて、あるコンソーシアム組織の医療・福祉部会で、阪神淡路大震災、中越地震、中越沖地震の記録や被災された病院、高齢者介護施設関係者へのヒアリング等をもとに、災害時を想定した食事提供システムのあり方に関する知見をとりまとめた資料のポイントを紹介したものであった。

 今回の緊急報告集会で、私が驚いたことは、病院や高齢者介護施設の管理栄養士や大学の准教授(当時)、病院の建築・設備設計士、非常用食品の開発・販売企業の責任者などで構成するプロジェクトメンバーでまとめた提案内容と、吉田さんが体験を通じて実感された「良かったこと」「今後取り組むべき大切なこと」の相当部分が見事にオーバーラップしていたことである。
 せっかくなので、そのポイント項目を紹介しておく。
(1)電化厨房とクックチル・真空調理などの新調理システムの効用

(2)ランニングストック型の備蓄食品の導入

(3)飲用・調理用の水の確保

(4)厨房機器用の非常用電源の確保

(5)厨房機器の耐震固定

(6)ラップフィルム等の備品の備蓄

(7)情報の収集・連絡・共有手段の検討

(8)施設間のネットワークの構築

 最後に、私自身が上記の調査研究活動の中で強く感じたことであるが、私たち日本人、とりわけ政治・行政をリードする立場にある人たちの、潜在的なリスクに対する危機感と責任感の希薄さには、止め処のない憤りを感じる。

 阪神淡路大震災で多数の高齢者が災害を克服したにもかかわらず、誤嚥事故等の犠牲になった事実に対して、抜本的な対策は何ら取られてこなかった。食品衛生に対する基準やルールの整備も、欧米諸国に比較すると、放置されているに等しい実態にある。最近指摘されているスリーマイル島の事故後の原子力発電施設における安全確保対策見直しの甘さもしかりではないか。

 第二次世界大戦という無謀な戦争になぜ突入してしまったのか、多くの戦場で適切な判断を下せば避けることのできた犠牲者を、なぜ無益な死に至らしめてしまったのか―。
 これらの根源的な原因を研究し、提起した「失敗の本質」という書を、私たちは今一度真剣に熟読玩味し、意識と行動の転換を図る必要があるのではないだろうか。

[2011/07/26 19:42] | 給食問題コラム | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
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コメント
開設おめでとうございます
ブログの開設おめでとうございます。多くの方々に読んでもらい、給食が抱える問題に取り組む、情報発信となることを期待したいと思います。
[2011/08/01 09:06] URL | Larry s Iwai #y.FzEELU [ 編集 ]
このブログ
今回限りですか?それとも継続ですか?
私は継続が良いと思うのですが…

失敗の本質は私も読みました。
良い本ですね。
読み返してみたい本です。
[2011/08/01 11:21] URL | 宮崎 #- [ 編集 ]
3.11廣島の原発29.6個分の被爆以来、時代は全く異なる新しいステージになった。パラダイムがかわったのだ。従来の価値の転換が求められるとともに、「人の命の尊さ」を最優先する社会システムの構築である。こんときに、新たな挑戦をスタートされる事に心から敬意を表します。限られた人生を歴史の批判に耐えられるものとしたいと思います。良き仕事をされますよう
[2011/08/01 17:05] URL | 金谷節子 #ZsZZTrTY [ 編集 ]
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